さとちゃんの、だだだだだ駄ブログ

【ナナサト】ピアノの方、勢いまかせのどーでもいい話と、たまにライブのお知らせなど大事な告知もします。

大曲ストリートピアノ(後半)

ここに着くまでの前半はこちら。

 

こちらの画像、右側をご覧くださいませ。一人掛けの黒い椅子が並んでいますね。

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同様に、ピアノの左側にも椅子が置かれております。それぞれ7席くらいだったか。

私が行ったときは、西口に向かう方(ピアノの左側)に、イヤホンをした男子高生と初老の女性が腰かけていらっしゃいました。

弾いたら、うるさいかもなあ、ごめんと思いつつも

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こういう想いで置かれたピアノなんだから、いいんだよ別に。ねえ。

東と西の連絡通路だし、夏も冬も屋外と同じように暑く寒い場所だろう。ならば屋外で弾いたエリアなかいちと変わらないはず。弾いてもそんなに響かないはず。

と思いながら弱いタッチで弾き始めたらめっちゃ響くじゃあん、うっそーん。

 

そうか、通路って響くのか…。

どうしても初回ストピの苦い思い出が頭をよぎり、限りなくピアニッシモでさらっと一曲。

チラと視線を左に向けたら、初老女性がいなくなってた。うるさかったか!ごめんなさい!(;ω;) まあどんな理由でいなくなったか知りませんけどね。

 

もう一曲バラード弾いてみました。音の響きはとっても気持ちいいです。そして、まあ生ピアノを所有したことない私が言うのもあれだけど、私は好きな弾き心地でした。あと、かすかに鍵盤のところどころに染みがあって、長く使われてきたんだなあと思うとそれだけでじーんと来たり。

たまに、鍵盤が浅めのヤツありますよね。あれがちょっと苦手。

 

弾き終わって左をチラ。高校生まだいる!あ、特に去る気ないよね、じゃあいいよね、と丸の内サディスティックをがんがん弾かせていただく。これ、一体どこまでどの程度の音量で聞こえているんだろうなあ。我ながらうるさいw

左チラ。高校生まだいる。

 

新幹線や在来線が入ってきた様子は感じられない。ピアノに向かってるから人が通る姿は見ていないけど、足音とちょっとした声で「あ、誰か歩いてる」とすぐわかる。「あー、ピアノ」という声もちらと通り過ぎていく。立ち止まる様子はない。

いやいや、一体何を気にしているの私は。そこにいる人から拍手をもらいたいわけでもないし、足を止めて見てってよと思ってるわけでない。

もう、気にするの、100%やめた。

 

完全に自分のためだけに弾く、いつもの green tea farm(我が物顔で書いてますが、上原ひろみさんの曲です)。美しき響きよ。美しい旋律よ。

この曲は鍵盤だけじっと見て弾いてるといろいろと迷子になるので、ほとんど宙を見て弾くのですが、鍵盤からふっと目線を上げたところ、

ピアノの黒い鏡面に映る、一人の女性。壁に少しもたれて、外を眺めながら。さっき私が存在に気付いてからずっといる。

この景色(横手方面)を見ていたのね。いい空ですもんね、…って

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あっ!もしかしてこの女性は…次に弾きたくて待ってる人!

あわわわわ、ちょっと待ってね今終わります。これで終わります!

弾き終わって振り返って「すみません。弾きますか?」と聞いたら、スーツ姿の女性は「あ、いえ、違うんです。聞いてたんです。素敵でした。」と言ってくださった。さとちゃんの心がポワンと鳴る。

「学校の先生とかですか?」と聞かれて「いえいえ(そんな崇高な存在にはとても)」と頭をブンブンブンブン横に振る。

「ありがとうございました」と言って女性は西口の方へ去って行った。こちらこそありがとうだよ。心がポワンとしたまま、あったかい。

 

4曲も弾いたし、もういいかとピアノの蓋を閉める。イヤホン男子高生はいなくなっていた。

この椅子に座って一息つきたくて、男子高生が座っていた場所に座ってみる。決して男子高生のお尻のぬくもりがまだ残っていればなとか思ってのことではありません。

 

喧噪には程遠い程度の、通行人の足音、会話。改札口のピンコーンと鳴る音やアナウンス。いいなあ。

 

気付くと、同じ並びの椅子に、年配のご夫婦がいつの間にか座っていた。

さて帰ろうと立ち上がったんだけど、ふと、ああこれを弾いて帰ろうと思った。県民歌。ご夫婦の会話の邪魔にならないように、けど「あら、県民歌。ピアノの音でいいわね」とちょっと思ってもらえたら嬉しいな、ちょっとでいいですよ、私はそよ風よ、そう、そよ風…

というくらいそよそよとした感じで、もう一度ピアノに向かい、県民歌を弾いた。

そしたらね

あれ、もしかして、、じいちゃん、歌ってる??

そう思い始めたのが1番が終わる頃。ドキドキしながら、こういうときに限って左チラ見をできず、そのまま弾き続ける。

やっぱり、声が聞こえる…気がする…

チラでなく、首をひねって左側を見たら、おじいちゃんが口を大きく大きく開けて、まっすぐ前を見て力強く歌っているのが見えた。私は急に眼に涙が溜まる(ので、音間違った)

 

さらには、ご夫婦のその先、改札のところ壁からちょこんと姿を見せて、若者男子がこっちを見てくれている。それにも気付いて心が熱い(ので、また間違った)

それがこれだよ。

スマホの置き場所がここなのでほぼピアノの音しか録れていないんだけど、僅かにじいちゃんの声が聞こえる。スマホで確認すると私は聞こえないんだけど)そして34~35秒のところで、じいちゃんのサ行の発声が聞こえる。

きっと、改札付近で聞いてた若者たちには、ピアノと歌声がいいバランスで聞こえたんじゃないかなあ。私もそこで聞いてみたかったよ。

 

先日のよこてイーストライブやその前あたりから、私は聞いてくれたお客さんに拍手をしたい気持ちがすごく生まれていて、それは「こんな私のつたない演奏を、聞いてもらっちゃってどーもすいませんねえエヘヘ」というへりくだった気持ちでは決してない、けど

「客席でちゃんと聞いてくれた皆さん、ありがとう、素晴らしい、えらいわあ!」というのでもない。

それについて、何なんだろうなとたまに思い出しては考えていたんだけど、今日、「この場を、お互い素敵に過ごせてたなら嬉しいね。今日この時間を共有できたことに、嬉しくて拍手をしたいなあ!」という気持ちなのかなと思った。

 

だから、動画を見返してもやっぱりそうだけど、弾き終わってすぐに私が拍手しちゃったや。歌ってくれたじいちゃんに、それをずっと見ててくれた若者に。

若者も、ご夫婦も拍手を大きな拍手をくれた。5人で拍手を響かせた、いい空間だった。

 

そしてやっぱり、今日も秋田県民歌の偉大さを深く味わったのでした。

そよ風のように弾き始めたこと、忘れてた、アハハ。

おしまい。

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nanasato.hateblo.jp