ななちゃんとの出会い(後半)
(後半)
さて、対バンの際にナナちゃんに声をかけようと奮い立つも
いきなり「ねえ一緒に、バンドやろうよ」って言うのも突然すぎるわよねと、
まずはfacebookのメッセンジャーで、自己紹介と対バンする旨等々、差し障りない挨拶をした程度にして
もちろんfacebookの友達申請をして、承認していただいたからには過去投稿を見まくる。
うむ、個人活動の他、しょっちゅう活動しているバンドなどは他になさそうだ。てことは、私と組む余力はあるなと勝手に想像する。心の中でガッツポーズ。
迎えたライブ当日。会場で渋いギターケースを抱えた女子を発見!
発見!というような距離を持てる広さの会場じゃなく、発見というよりも、ドアを開けて会場に入ったらそこにいた。
かわいいお子ちゃんが近くにいて、お子ちゃんを連れてこの冬道を、遠くから運転してきたのかと、そのフットワークにひたすら脱帽。
ナナちゃんの出番、私は一番前に座り込んでガン見する。いじわるではない。
控えめにはじっこの一番前でお子ちゃんたちはキャッキャとぬいぐるみと戯れながらステージを見たり見なかったりしていて、それを見るのもまた癒されるいい時間だった。
曲は、youtubeでも見ていた曲をいくつか、そして初めて聞く曲と、オリジナルと。
どの曲を聞いても「やー、上手いやー」と思うばかりで、途中のMCもゆったりとしていて客席と会話をしていて、「慣れてるなあー」と思うばかりで
ただただぽーっと、尊敬の念を抱いて聞いていた。
これは私なんかが誘えるお方ではない…とか、居住地も離れてるし一緒に活動は難しいかな…とか、
あの曲私も昔やったな、今すぐスタジオで合わせられるかもよ!とか、
次々といろいろな考えが浮かんでは頭の中をいっぱいにしていく…なんて余裕は全くなく、私は私で自分のステージで頭がいっぱいよ。
ナナちゃんは、私らの遅い出番時刻まで残っているのは難しそうで、ごめんねと先に帰った。
私は、自分たちのバンドのステージが終わり、打ち上げが終わり、楽しく飲んで楽しく酔っぱらって寝る。
ところでライブ翌日によく陥る症状として「昨日楽しすぎたあまり寂しい」があるんだけどもう一つ、「自分の技術不足にへこむ」がある。
じゃあ技術を高めたいために、普段どう練習してきたのよと言われると、何もしてないのだから技術不足を感じて当たり前なんだけど。
ライブ本番で、お客さんとメンバーと自分の湿った熱気の中にいて、あでやかな照明を浴びて大きな音に心身を委ねたら、火事場のクソ力のようなものが出て、いつもより良い演奏ができると思っちゃってるのである。んなわけあるか。
自分の行動不足をわかっていつつ、何かを何かで埋めたい気持ちなのか、とりあえず本屋の音楽コーナーに行って教則本なんてぱらぱら見てみるのです。
ななちゃんと一緒にやってみたいなーーーのことについては
「今無理に話を急がせることじゃない」って感覚はあったし、ななちゃんのfacebookを見てたら他の方との予定もありそうだったので、
とりあえず、雪解け、春を待ったのでした。
気持ちはある。しかも急いてる。けど急いて吉と出ることと、多分そうではないことの違いがあるってことを思ったりしたときでした。